ひきこもり情報士(支援者) 検定テキスト

2020年5月19日

こちらの「ひきこもり支援者 基礎情報検定」の資格テキストになります。
試験に合格したら、履歴書などに「ひきこもり情報士(支援者 )」とご記載ください。

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https://poranda.com/quest/detail.cgi?no=6

ひきこもりと支援者の関係性

「ひきこもり支援」というと、ひきこもりを「解決」する。という発想に支援者も相談者側も思いがちだが、ひきこもりの解決は「本人の中にしかない」というのが現実である。無理やり連れだすなど強制を伴う支援の方法もあるが、それで成功した場合はいいが、失敗した場合、ひきこもり本人はより人間不信になり、自傷や他者への恨みへと繋がりやすい。

また、支援者が全て代わりになんでもやってあげるのも問題である。

支援者側が代わりに全て行ってしまうと、ひきこもり当事者は自己肯定を積む機会がなく、自己成長を感じられずに自立した行動が出来なくなるため、支援者が離れたら結局元の状態に戻ってしまう。これは「先回りする毒親」と同じことをやっている。また、この状態はお互いに依存する「共依存」になりやすい。

それらを回避するため、ひきこもり当事者と支援者の関係は「つかず離れず」の関係性を推奨する。あまりベタベタすることなく、お互い依存せず、させず、必要な時は相談に乗り、お互い気が向いたときに付き合うというのが良好な関係を維持していくのに必要な事である。

忘れてはいけないのが「支援者側にも自分の生活を楽しむ必要がある」という事。これはひきこもり当事者の家族にも言えるが、自分の生活・メンタルが整ってない状態で人の支援を行おうとすると、支援者側も潰れる。自らの人生を楽しむことが人生の破綻を招かないために重要である。


支援者から見る8050問題

8050問題は ひきこもり家庭の高齢化を象徴する言葉で「親80代、子(ひきこもり当事者)50代」を指す言葉である。支援の方向性は各家庭により変わるが、お金に絡む問題だと「就労」という意味では50代からでは厳しいのは支援者の目から見ても明らかであろう。


金銭に絡むものとしての現実的な支援の方向性は、世帯分離しての生活保護や、世帯分離なしで親の資産がある場合は、親の資産(遺産)からいくら子に遣え、子が今後、月にいくら稼げばいいのか計算する、などがある。


金銭よりも医療的な意味で支援が必要な場合は、病院以外にも自治体などに該当できる部署がないか確認、相談するなどがある。孤立が問題な場合は、ひきこもりや障害、病気などの当事者会や、遊ぶ場所の提案など。

メンタル的な意味も含め、支援者一人の力ではどうにもできないことも多いので、解決したい課題に沿った支援ができる団体や行政の力も必要である。

ひきこもり支援に必要なもの

ひきこもり支援に必要なものは知識などそういった面ももちろんあるが、継続するためには「相談者の悩みに憑依されないメンタル」が最も重要であると考えられる。


ひきこもり支援者の中には、自身も元、もしくは現役のひきこもりで、相談者の悩みに深い理解を示すばかり、相談者の悩みに憑依され、支援者自身が病んで支援者を辞めていく。という現実がある。また相談者の親も病んでしまう事も珍しくないので、その相談も受けることになるとなおさら憑依される危険性は高まる。


ひきこもり支援は相談者と信頼を積み重ねていくという、短期ではなかなか結果が出ない現実があり「継続する」というのは重要な要素である。そのためには相談者の悩みに寄り添っていても、ちゃんと自分の生活を切り替えて楽しめる「憑依されないメンタル」が必要である。

「安心」と「お金」

ひきこもり問題において「安心」と「お金」は綺麗ごとにはできす、避けては通れない問題である。「安心」とはひきこもり当事者が「攻撃されず、安心して自分のことを話せる場所」。自助グループを運営してる人達はこれを重視して運営していることが多い。


お金は福祉を含めた、ひきこもり当事者の収入のことであり「お金がないことでマインドが収縮してしまい、お金があればできた挑戦、許容できる失敗をできなくなる」という、人の成長に必要な「挑戦と失敗」の機会損失になり、また純粋に貧困問題にも繋がりやすく、年齢がいくほど深刻になる。なので支援の中でお金に繋がるような支援ができれば、それが当事者の安心にも繋がる。


また、「安心」と「お金」は ひきこもり当事者のみなら支援者もそうあるのが理想である

当事者からの好意

特にアウトリーチ(訪問支援)やカウンセリングのような対面支援を行っている場合、ひきこもり当事者からの好意が寄せられることがある(その逆も)。


例えば当事者から好意を寄せられ「(プライベートの)電話やLINEを教えて欲しい」と言われることもあるが、組織で支援している場合「(所属している)会社の連絡先しか教えられない決まりになっている」などを伝えて回避するが、個人で支援している場合は、断りたいとしてもなかなか断る理由がなくて教える場合もあるだろう。

しかしそれは支援者の危険を伴う場合もある。夜中に気分が落ち込む人もあるので、夜中に急に電話がかかってきたり、「今から自殺する」などのメンタル負荷の強いメッセージが来る可能性も否定できない。


そういったプレッシャーに耐え切れず、自分自身が不眠や病んでしまって、支援を辞める支援者もいる。

「自分はひきこもり当事者に対して、どういう立ち位置で行くのか」
「プライベートの連絡先を教えるとしても、ちゃんと相手にルール(夜中は出ない)などを徹底できるか」


それらを決めておかないと支援者自身も傷つく結果になることは覚えておいて欲しい。


ひきこもり支援が継続できない理由

ひきこもり支援が継続できない問題点として「メンタル負荷の大きさに対して、稼ぎが少ない、もしくは望めない」という支援者側にとっては非常に厳しい現実がある。助成金をもらえる場合や、共同寮生活のように家賃、生活費として徴収しやすい場合はまだ経営として成り立つ可能性はあるが、悩み相談、当事者会のようなスタイルだと相談者はなかなかお金を払わない、もしくは少額、というのは支援者側が当たる大きい壁であろう。


「無料だから相談者の悩みが軽い」という事はなく、無料相談でも「親を殺したい」「今から自殺します」「お金がありません」など支援者のメンタルに負荷が大きい、かなりの緊張が走る相談が深夜に来たりすることがある。メンタルの負荷に対して継続できるほどの稼ぎが少ない、だからやる人、継続できる人が少なく、結果ひきこもり当事者が孤立していく。というのが、現在の日本の ひきこもり支援における問題点である。


また「ひきこもり当事者会」などのように大きく括りすぎなのも、スタッフが少ないうちは危険である。ひきこもりという状態は同じでも、原因は一人一人ちがう。退職や介護が原因の人もいれば、発達障害、精神疾患、いじめ、同性愛など様々で、しかも各々の性格まで絡む。


これらの人々を全員「理解する」など不可能で、また「自分は全員を理解してる」という思考も、相手に対する押し付けに繋がることがあるので危険である。まだ支援の経験が少ないうちは、自分でできる範囲に対象や人数を絞った支援をする方が、長続きする支援活動に繋がりやすい。



ひきこもり支援が経営として成り立ちにくい理由

ひきこもり支援が経営として成り立ちにくい理由に「親と ひきこもり当事者のズレ」も大きい。一部例外はあるが、基本的には ひきこもり本人はお金がないことが多く、有料サービスを提供する場合、親(もしくは家族)が支払う事が多い。つまり「親の悩みを解消する」というのが料金を支払ってもらう近道だが、現実には「親の意見は子どもの意見ではない」状態になることがある。


例を挙げると、親が先回りする毒親のパターンだと、子どもは自分の意見が言えず、親の言いなりになって自分の考えに自信や自己肯定感が持てない。その場合、親に先回りで子どもの自己肯定を奪ってきた自覚を持ってもらわないといけないが、「話聞いただけで何がわかるの!」とか、支援者が独身だと「貴方は子ども持ってないでしょ!」など、話を聞いてもらえないし、もちろん契約までいかない。そもそも、親が子どもを何とかして欲しい、と相談して来ても、子どもは知らない人(支援者)なんかに関わりたくない、というのも現実であり、これは ひきこもり関係なく、急に知らない人が来たら不快に感じる人はいる。


このように支払う側(親)と利用者(子)の意見がズレている場合が非常に多く、安定した経営としてやっていくには非常に難しい。

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